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日立キャピタル

「社会価値創造」 未来づくりストーリー

地方創生編

ビジネスパーソンが"いちご農家"に!
すべての常識を打ち破る新たなチャレンジ。

地域活性化は、解決すべき重要課題のひとつです。
私たちは、社会価値創造企業として模索を続けた結果、
農業に新たな活路を見出しつつあります。
社員自ら現地に移住し、生産に従事してつくりあげた
新たな事業モデルで、地域の未来を切り拓きます。

01地域に根ざす、新たなソリューションの開発へ挑む。

私たち日立キャピタルグループは、農業生産者様向けの先端機械の導入計画やキャッシュフローに合わせ、リース、ローンをはじめとしたファイナンスサービスの提供をしてきました。現在、農業は生産者の高齢化による担い手不足や低い収益性といった、業界全体の低迷を招く課題に直面しています。さらに、貿易自由化への対応や、農産物の国際競争力の強化が求められている困難な状況にあります。

さまざまな要因が重なり減退している農業を支援するには、ファイナンスサービスだけではなく、新しいビジネスモデルに取り組み、生産者様と一緒に農業の未来を創っていくことが必要だと考えます。そのような背景から、日立キャピタルグループは「食」を成長戦略において育てる事業として位置づけ、日立トリプルウィン食・農業事業部が主体となり新たなビジネスモデルの創出に取り組んできました。魅力的なビジネスモデルを創出し、参画いただける農業事業者様を増やしていけば、農業全体、ひいては地方活性化につながるのではないか。現状を突破し、新たな活路を拓くためにも、農業事業者様と同じ目線に立ち、根本から課題を理解して解決の道筋をつくることが重要だと思い至ったのです。

そこで、現場を理解するには現場で働くことが一番と考え、私たち自らが地方に赴き、その地で新たな事業モデルを推進することを決意しました。昨日までオフィスでパソコンに向かっていた素人社員が、ネットワークもない見知らぬ土地で、魅力的な農産品づくりに挑む――。一見、無謀なチャレンジかもしれません。しかし、汎用性の高い事業モデルになれば、新たな生産者の参入も可能になります。行政主導でなくても、「誰もが取り組むことができる農業」は、地域産業の選択肢を増やすことにつながります。そうすれば必然的に、地域の雇用創出にも貢献できるという確信がありました。

このチャレンジの第一弾として、私たちは沖縄県読谷村(よみたんそん)で「いちご」の生産・販売事業を展開しています。農地取得から生産、販売まで携わっている担当社員が、プロジェクトの詳細についてご紹介します。

02地元の消費拡大やアジア圏への輸出を見込める「沖縄」。

日立トリプルウィン株式会社
食・農事業部 橋本賢二(左)
食・農事業部 石田瑠美(右)

私たちが手がける農産物として、「いちご」を選んだ理由はいくつかあります。まず、ハウスを使用する施設型農業のため天候によるリスクが少なく、事業が安定しやすい点です。安定した収穫は、高い収益性につながります。また、いちごは人気もあり、付加価値の高い農産品であるため、収量に対して大きなリターンが見込めます。

人口が減少することを見据えて、海外への輸出販売のしやすさも考慮しました。日本の農産品は海外での評価が高く、特にいちごはアジアで人気があります。例えば香港のマーケットでは、日本の3〜5倍の価格で取引されていますので、ブランド価値が認められれば収益を確保することができます。また、素材を活かしたスイーツなどの加工食品や観光農園といった形で6次産業化がしやすく、多様な発展性があるのもいちごを選んだポイントです。

一般的にいちごは暑さに弱いとされているため、なぜ「沖縄」を選んだのかという質問をよくいただきます。私たちが温暖な地を選んだきっかけは、暑さに強い品種(信州大学が開発した「信大bs8-9」)と巡り合ったことでした。そのアドバンテージを活かしつつ、事業を発展させることを考えたとき、沖縄が最適だという答えに達したのです。

第一の理由として、国際物流のハブである那覇空港の存在があります。香港や台湾、ASEAN諸国などアジア主要国への高速物流が可能なため、沖縄で生産すれば他産地よりも1日早く出荷することができます。将来的には、「亜熱帯でつくれる美味しいいちご」としてアジア圏に事業モデルを展開することも視野に入れています。

また、沖縄のマーケットを調査した結果、いちごを好きな人が多いにもかかわらず、そのほぼ100%が県外産を消費していることがわかりました。ただし、県外産のいちごは収穫から時間が経過するため鮮度が失われ、輸送中の積み替えやコールドチェーンの途切れなどもあり品質が低下しやすいのが実情です。そこで、私たちがニーズに応じて新鮮で美味しいいちごを届けることができれば、継続可能な事業になります。さらに沖縄産ブランドいちごが観光資源となれば、国内外からの観光客も誘致できるかもしれません。

03熱意を持って、真摯に地域と向き合った末に得た「信頼」。

事業モデルは見えたものの、生産体制を確保するまでにはやはり時間を要しました。私たちのプロジェクトは農業特区を活用するなど行政が関わるものではなく、ゼロからのスタートになるため、沖縄県庁にコンセプトを説明して自治体を紹介してもらうところから始まりました。沖縄県内のいくつかの自治体を回ってご説明をさせていただきましたが、皆さんが新規参入には慎重になっており、なかなか思うように話は進みませんでした。

その中で、受け入れ窓口を開いていただいたのが読谷村だったのです。読谷村は日本最大の村で土地も広く、いちごの栽培に必要なビニールハウスが建設できる広大な農地を保有していました。私たちの事業モデルが成功したのちに地域の方々が新規参入できる余地があり、ブランドいちごを展開させる基盤としては最適でした。さらに、村おこしに積極的な姿勢も当社の地方創生に貢献したいという想いと合致したのです。

しかし、読谷村にとって、地元以外の法人に農地取得の認可を出すのは初めての事例でした。私たちも初めての試みでしたので、わからないことが一杯です。役場や県庁、地元の公民館などを行き来し、慎重に一つひとつ教えていただきながら、必要事項をクリアしていきました。右も左もわからない状況でしたが、一番に気をつけたことは、誠実な対応です。

私たちがお借りする農地は隔絶されているわけではなく、近隣の皆様と地続きでつながっています。だからこそ、信頼の置けない人間に大切な農地を任せられないのは当然です。そのため、周辺の農業事業者様にご挨拶をする際も、いきなりこちらからコンタクトをとるのではなく、地元の公民館の方にお話を通していただくなど、くれぐれも礼を欠くようなことがないように対応しました。

また、農地を適切に活用できる技術を持ち、かつ持続的に経営できる能力がなければ、せっかくの肥沃な土地を耕作放棄地にさせてしまうなど、地域に損失を与えかねません。そのため、いちご栽培で豊富な実績を持つ株式会社アグリス様と業務協定を結び、生産技術の指導を受ける体制も整備しました。そのうえで、地域に貢献したいという想いをお伝えし続けたことが、地域の皆様の信頼を得ることにつながったのだと思います。

Next Story誰もが参画できる、"新しい農業"で未来を拓く。

現在、読谷村のいちご生産は軌道に乗りはじめています。2017年5月に初めての収穫を迎え、12月には事業化発表会を開催し、ブランド名も「Berry Moon(ベリームーン)」と決まりました。肝心のいちごの味については、地元のパティシエ様から「フレッシュでおいしく、加工しても別の良さが出てくる」「甘味も酸味も十分で記憶に残る味わい」といった好評価をいただくことができ、ホテルやパティスリーなど、すでにいくつかの事業者様から契約のお話をいただくことができました。また、読谷村のふるさと納税の返礼品にも採用され、順調な滑り出しとなったことに安堵しています。

こうして私たちのような経験や実績のない者でも、農産品を生み出すことに成功したのは、ひとえに皆様のご支援なくして成し得なかったと感じています。ファーム周辺の農業事業者様へご挨拶まわりをしていた際は、事前に役場の方が「頑張っているから応援してあげてほしい」と連絡をしてくださっていたそうです。近隣の方々も、どうなることかと見守ってくださったようで、ご試食いただいたときには「正直、こんなに上手につくるとは思っていなかった」とお褒めの言葉をいただきました。それまでの苦労が報われるとともに、読谷村の一員として認めていただけたのかなと感じました。

まだまだプロジェクトの第一歩を踏み出したばかりですが、アルバイトに地元の方を採用するなど、小さいながらも雇用創出を実現しています。「沖縄のいちごといえば『Berry Moon』、いちご産地といえば読谷村」と呼ばれるまでにブランドを成長させ、新たな生産者がこの事業モデルを展開する未来をめざし、今後もチャレンジを続けていきます。

現在2名の社員が読谷村で生産を行い、各々が住民票を移してまでひたむきに農業と向き合っています。地域とともに生産者と同じ想いで課題を解決していく――。その姿勢こそが私たちの取り組む地方創生の根幹です。誰もが参画できる"新しい農業"で、明るい未来を切り拓くロールモデルをめざしていきます。

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